3.仏壇の役割 - 仏壇の知識

先祖供養のため

仏壇は、飛鳥時代に登場し、貴族階級に伝わった室町時代、浄土真宗の門徒に広まった鎌倉時代を経て、
江戸時代に入り一般庶民にも普及しました。
日本全国に行き渡った仏壇は、それまでの、「浄土真宗における阿弥陀如来信仰の場としての仏壇」とは
少し異なる役割を持ちます。それが、先祖供養のための仏壇という役割です。

江戸時代、庶民は寺請制度のもとでお寺の檀家となり、仏教徒になりました。
しかし、日本には古来より先祖崇拝の信仰があり、庶民は仏教徒となっても
この先祖崇拝を捨てることはありませんでした。

寺院の方でもこれを否定しなかったため、仏教と先祖供養の信仰が混ざりあい、
仏壇は、先祖供養の場としても大きな意味を持つようになりました。
仏壇に位牌を安置して供養するようになったのも、江戸時代からです。
また、浄土真宗以外の檀家は現在のように立派な仏壇を持ってはいませんでした。

ほとんどの家で、仏様と位牌を安置した床の間を仏壇としてお参りしていました。
その後、唐木仏壇が登場すると、床の間を利用した作り付けの仏壇は少なくなっていき、
床の間とは別に仏間をつくって、そこに仏壇を安置するようになりました。

戦後の日本では、高度経済成長や核家族化といった時代の変化により、信仰を軽視する傾向が強まって、
朝晩仏壇に手を合わせるという習慣も希薄になっていきました。

しかし、近年、仏壇が再び見直されるようになっています。

仏壇の前で手を合わせ、仏壇を通じてご先祖様に感謝と祈りをささげるという行為の中に、
現代人が忘れかけている大切なものがたくさん詰まっていることに、皆が気づき始めたからです。

例えばそれは、ご先祖様を敬い感謝する気持ちや死者を思いやる気持ちです。
日々の忙しさに追われる現代人にとって、静かに手を合わせて内省する時間もまた大切なものでしょう。
私達は、朝晩仏壇に手を合わせることで、仏様やご先祖様にいつも守られているという安心感を得ることができ、
自分の気持ちや行いを顧みることができます。

また、両親や祖父母が仏壇に手を合わせる姿を見る子供は、同じように、感謝や思いやりの気持ちを持つようになります。
日本人の根底には、親から子へ子から孫へと受け継がれていく素朴な信仰心が息づいています。

仏壇には、ご本尊や仏様をお祭りするという役割の他に、もうひとつ、日本人の宗教的な心をはぐくみ、
感謝や思いやりの心を育てるという大切な役目があります。